着物の保管方法
絹で作られた正絹の着物は非常にデリケートです。
丁寧に保管していても、知らない間に黄ばみが出てしまうことがあります。
一度黄ばみやシミ、虫食いなどが発生すると、着物を美しく着ることが難しくなり、買取時の査定額も期待外れになる可能性があります。
そんなことがないように、大切な着物は正しい方法で保管しましょう。
着物をきれいに保つためには、いくつかの重要なポイントがあります。
カビや変色、日焼け防止対策など、着物が傷む原因とその対策をカテゴリーごとに紹介します。
湿気対策
着物を良好な状態で保つためには、通気性を確保することが最も重要です。
着物に湿気は大敵で、湿度が75%以上になるとカビが繁殖しやすくなります。
カビや変色、型崩れが一度発生すると、劣化が急速に進むため、事前の対策が不可欠です。
基本的には、着物を一枚ずつ専用のたとう紙に包んで保管ケースに収納します。
桐のタンスが理想的ですが、用意できない場合はプラスチックケースでも代用できます。
プラスチックケースの場合、底にすのこを敷くことで通気性を向上させることができます。
逆に、ダンボールなど紙製のケースは湿気を吸収しやすいため、保管には適していません。
着物を収納する際には、通気性を保つと同時に、型崩れやシワを防ぐために互い違いに重ね、5枚程度に留めておくのが効果的です。
さらに、除湿剤を利用することも簡単にできる対策です。
除湿剤は湿気対策と同時に虫食い対策にも効果があります。
虫食い対策
虫食いを防ぐために、市販の防虫剤を使用することが一般的ですが、防虫剤は1種類のみを使用することがポイントです。
複数の防虫剤を混ぜて使用すると、化学反応を起こし、シミや変色の原因になることがあります。
特に金銀の糸を使った着物は化学反応を起こしやすいため、着物専用の防虫剤を使用することでこれを防ぐことができます。
湿気は害虫の活動を促進するため、乾燥剤と防虫剤を併用することで効果的に対策できます。
お菓子の乾燥剤として使われるシリカゲルも防虫剤と一緒に使えるため、併用するのがおすすめです。
防虫剤や乾燥剤は着物に直接触れないよう、保管ケースの四隅に配置します。
ケースが大きい場合、四隅すべてに入れると過剰になりシミの原因になるため、容量を確認して使用してください。
また、**虫干し**と言われる定期的な陰干しも効果的です。
虫がついていた場合でも早期に除去でき、着物の状態をチェックする機会にもなります。
最低でも年に一度、できれば季節ごとに行うと良いでしょう。
保管場所
着物はとても繊細なため、適切な保管方法で長期間美しい状態を保つことができます。
逆に、保管場所や保管方法が悪いと、すぐにダメージを受けてしまいます。
まず、意外と見落としがちなのが紫外線です。
室内の陽の当たらない場所に置いてあっても、電気の光などから紫外線が発生するため、長期間光に晒されることで着物が変色する可能性があります。
しっかりたとう紙に包み、さらに風呂敷などで覆うことで光の侵入を防げます。
また、着付け道具である帯板などのゴム製品からは、使用されている接着剤との化学反応で硫黄系のガスが発生することがあり、臭いや変色の原因になります。
接着剤が溶け出して着物に付着する可能性もあるため、アイテムごとに分けて収納するようにしてください。
桐箪笥が理想的ですが、プラスチックケースも手軽に入手できる代替品です。
収納前に除湿シートやすのこを敷くことで、さらに効果的な保管が可能です。
ケースのサイズは着物を二つ折りで収納できるものを選び、折りじわを防ぐことが重要です。
スペースが限られている場合は、着物を三つ折りで収納できるサイズでも良いです。
まとめ
黄ばみや変色、シミ、虫食いなど、適切な保管をしないと大切な着物が傷んでしまいます。
湿気対策、虫食い対策、保管場所に気を配り、着物を美しい状態で保管しましょう。